当別町役場新庁舎はどれくらいお金がかかるの?
- 佐藤たつ

- 1 日前
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当別町の役場新庁舎建設をお金の面から考えてみます。
当別町はこれまで古い庁舎を使い続けてきましたので、建物の修繕費や水道光熱費などを除いて役場庁舎への支出はありませんでした。
新庁舎になれば、リースであれ借入であれ、毎年一定の支出が新たに発生します。一方で、新庁舎を建てても税収が増えるわけではありません。実家暮らしから一人暮らしに変わって、住居費があらたに発生するようなものです。

建設費は町の一般会計で賄います。一般会計は町民のみなさんへの行政サービスのための財源です。新たに発生する支払いのためには、いままでの行政サービスを見直して資金を確保しなければいけません。
先にまとめ

新庁舎の費用は町民1人あたり年間10,824円~12,186円
今までの行政サービスのうち1.3%を削減して新庁舎の費用を賄う
2050年にはリース料の割合が1.8%程度に上昇するおそれがある
どのような形であれ、役場庁舎は直さなければいけません。多額の費用がかかります。そして、その費用は原則として行政サービスにかかる費用の削減で賄わなければいけません。
将来の行政サービスの財源を確保するために、役場庁舎はとことん節約して建てることが最重要です。
総事業費

基本構想(案)をもとに試算すると、建築費、既存庁舎の解体費などを含め、総額は49~55億円程度と見込まれます。詳細は、「当別町新庁舎建設基本構想(案)の解説」をご覧ください。
総額を30年間リースとすると年間1.6~1.8億円
仮に事業費の総額をすべて30年リースで支払うとすると、毎年の負担額は1.6~1.8億円となります。

リースの場合、金利や手数料が発生します。一方で、町発注工事と比べて民間発注工事は概ね10%ほど工事費が安くなるといわれています。この安くなった分が金利手数料になり、総額はほぼ変わらないとして試算しています。
当別町の歳出に占める割合は?
この1.6~1.8億円は、今の当別町の一般会計歳出(行政サービスの費用)に対して、どれくらいの割合でしょうか。2024年度決算(141億円)で計算すると1.3%です。

これを町民1人あたりに換算すると

金額が大きいので、町民1人あたりにしてみました。仮に4人家族だと、一家庭で43,297円~48,743円です。

この試算をもとにすると、新庁舎建設により、既存の行政サービスから、一人当たり10,824円~12,186円、約1.3%の費用を削減する必要があることがわかります。
1.3%の削減ってどれくらい?
では、町民一人当たりで考えるとどれくらいの大きさでしょうか。下の円グラフは町民一人あたりの支出額です。このなかから10,824円~12,186円の削減です。
2024年度の町民一人当たり支出94万円の内訳

単純に1.3%を削減するとしたら
現状の当別町の支出から一律に1.3%を削減するとしたら、下の表のようになります。たとえば、議会費で108万円、社会福祉費で2,262万円、道路橋りょう費で1,401万円、義務教育費で327万円の削減です。

ただ、これはあくまで単純な計算です。公債費(借金の返済)など削減できない費用もあります。すべての行政サービスを見直して、年間1.6~1.8億円を削減することになります。
2025年度の歳出額 | その1.3%分の金額 | ||
1 議会費 | 11 議会費 | 82,928,670 | ¥1,078,073 |
2 総務費 | 21 総務管理費 | 3,629,058,960 | ¥47,177,766 |
22 徴税費 | 31,320,389 | ¥407,165 | |
23 戸籍住民基本台帳費 | 23,320,554 | ¥303,167 | |
24 選挙費 | 13,821,184 | ¥179,675 | |
25 統計調査費 | 930,270 | ¥12,094 | |
26 監査委員費 | 1,422,629 | ¥18,494 | |
3 民生費 | 31 社会福祉費 | 1,740,264,498 | ¥22,623,438 |
32 児童福祉費 | 1,121,007,697 | ¥14,573,100 | |
4 衛生費 | 41 保健衛生費 | 262,889,956 | ¥3,417,569 |
42 清掃費 | 286,783,592 | ¥3,728,187 | |
43 上水道費 | 269,069,687 | ¥3,497,906 | |
5 農林水産業費 | 51 農業費 | 962,632,930 | ¥12,514,228 |
52 林業費 | 71,943,708 | ¥935,268 | |
6 商工労働費 | 61 商工費 | 48,596,109 | ¥631,749 |
62 労働費 | 75,395 | ¥980 | |
7 土木費 | 71 土木管理費 | 821,415 | ¥10,678 |
72 道路橋りょう費 | 1,077,889,498 | ¥14,012,563 | |
73 河川費 | 41,034,284 | ¥533,446 | |
74 都市計画費 | 616,419,145 | ¥8,013,449 | |
75 住宅費 | 86,329,537 | ¥1,122,284 | |
8 消防費 | 81 消防費 | 497,900,000 | ¥6,472,700 |
9 教育費 | 91 教育総務費 | 460,930,678 | ¥5,992,099 |
92 義務教育費 | 251,361,723 | ¥3,267,702 | |
93 社会教育費 | 113,850,704 | ¥1,480,059 | |
94 保健体育費 | 66,782,512 | ¥868,173 | |
10 災害復旧費 | 101 公共土木施設災害復旧費 | 5,000 | ¥65 |
11 公債費 | 111 公債費 | 842,064,880 | ¥10,946,843 |
12 職員費 | 121 職員費 | 1,478,396,498 | ¥19,219,154 |
13 予備費 | 131 予備費 | 0 | ¥0 |
14,079,852,102 |
2050年にはリース料が1.8%程度に~人口減少の影響は

リース期間がおわる30年後には当別町の人口は1万人を大きく下回っていることが予測されます。今から25年度の2050年の予測で9,106人。庁舎の完成が見込み通り2029年の場合、リース満了は2059年。2050年からさらに9年が経過しています。

リース期間中の支払額は原則として固定です。住宅ローンの固定金利のようなもの。一方で、町の財政規模は人口が減れば当然少なくなります。とすると、現時点では一般会計の1.3%ですが、将来は金額はかわらなくても割合は大きくなることが想定されます。
町村の人口と一般会計歳出の関係
このグラフは2024年度決算で、北海道の町村の人口と一般会計歳出の関係です。縦軸が一般会計歳出総額で、横軸が人口、赤マルが当別町です。地域や人口構成、産業などによりばらつきはありますが、おおむね、小規模町村ほど財政規模は小さくなります。

Geminiに分析してもらった
相関係数: 0.76
人口と歳出総額には強い正の相関が見られます。つまり、人口が多い町ほど歳出総額も大きくなる傾向がはっきりと確認できます。
決定係数 (R^2): 0.58
これは、歳出総額のバラツキの約58%が人口の違いで説明できることを意味します。残りの半分弱は、人口以外の要因(面積、産業構造、離島・山間部などの地理的条件など)によるものと考えられます。
試算モデル(回帰式)
このデータから導き出される、人口と歳出総額の関係式(単回帰式)は以下の通りです。
歳出総額(億円)=0.0063×人口+40.33
固定費的な要素: 約40・3億円
人口が0であっても理論上発生するベースの費用です。
変動費的な要素: 1人あたり約63万円増加
人口が1人増えるごとに、歳出が約63万円増加する傾向があります。
2050年の試算
30年後に地方財政がどうなっているかはわかりませんが、まずはこのデータをもとに考えてみます。

2050年の当別町の予測人口
9,106人
2050年の当別町の一般会計歳出総額
上のモデルで計算すると歳出総額は97.4億円。リース料の割合は、最大1.8%になります。
※日本全体の経済成長とそれに伴うインフレにより、名目の財政規模が拡大し、実質的な負担割合が低くなることもありえます。

どのような形であれ、役場庁舎は直さなければいけません。多額の費用がかかります。そして、その費用は原則として行政サービスにかかる費用の削減で賄わなければいけません。
将来の行政サービスの財源を確保するために、役場庁舎はとことん節約して建てることが最重要です。








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